円成寺
(えんじょうじ)
国宝・重要文化財に名勝の庭園と、柳生エリアで一番充実したお寺。それほど広くないながらも、庭園・建物・仏像と見どころの多いスポットです。
どんなところ?
柳生街道沿いにある、充実していながら静かなお寺
円成寺は、奈良市街から柳生へ向かう「柳生街道」沿いに建つお寺。手前にある、池が広がる優雅な庭園と、境内バックの深い緑が印象的です。国宝・重要文化財の建物・仏像が見られる充実したお寺ですが、人も少なく静かで、落ち着いて文化財を鑑賞できます。
見かた・楽しみかたは?
庭園から楼門を眺めて、本堂や仏像をじっくり拝観
まずは、道路を入ったところに広がる、大きな池を中心とした庭園。平安時代に作られたもので、寝殿造り庭園の面影を残しているとのことで国の名勝に指定されています。庭園自体も、中島に植木があったりして優雅ですが、池越しに見る重要文化財の楼門が特に見事。池を手前に、山の緑を背景に建つ檜皮葺きの優美な門は、いつまでも見ていたくなる眺めです。
楼門に向かって左の階段から境内に入ると、正面にあるのが本堂。寝殿造風の建物で、お堂というより貴族の屋敷や神社のような感じです。正面に階段があって、その両脇が1段高い「舞台」になっているめずらしいもの。中では、本尊・阿弥陀如来とまわりを囲む四天王が重要文化財なほか、平安時代~室町時代の仏像が見られます。柱に描かれた「聖衆来迎図」も見どころ。
手前にある色鮮やかな多宝塔は、つい最近できた新しい建物ですが、ガラス越しに国宝の大日如来が見られます。平安時代末に、有名な仏師運慶が若いころに作ったもの。運慶作とはっきり分かっているものは少なくて貴重なほか、国宝の大日如来は唯一だとか。
境内の小さな神社「春日堂・白山堂」も国宝なほか、となりの「宇賀神本殿」も重要文化財です。目立たないので、見落とさないようにしたいところ。
歴史は?
奈良時代創建と伝わるものの、平安時代説が有力
奈良時代の756(天平勝宝8)年、聖武天皇・孝謙天皇の勅願で建てられた、と伝わっていますが、実際は、1026(万寿3)年に命禅(みょうぜん)上人が十一面観音をまつったのが始まり、と考えられています。
平安時代に栄えたようですが、応仁の乱で建物が焼失。江戸時代には、将軍の援助を受けてまた栄えましたが、明治になって衰退して今に至るとのこと。
どうやって行く?
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近鉄奈良駅からバスで31分・JR奈良駅からバスで35分
「忍辱山(にんにくせん)」下車徒歩2分
円成寺データ
正式名称 | 忍辱山円成寺 |
宗派 | 真言宗 |
拝観料 | 大人・大学生:400円 中高生:300円 など |
拝観時間 | 午前9時~午後5時 |