法華寺
奈良を代表する美仏のひとつ、十一面観音が見られるお寺。重要文化財やいい雰囲気の建物、庭園など、なかなか充実したスポットです。
どんなところ?
住宅街に囲まれた、開放的な境内のお寺
法華寺は、平城宮跡の東側、住宅街に囲まれたところにあります。バス停のほうから築地塀沿いに進むと、拝観入口の「赤門」があって、入らずに道路を進むと重要文化財の南大門。
赤門を入ると、左の鐘楼と、向こうに見えるかやぶき屋根の「光月亭」が印象的。隣り合わせの海竜王寺とうって変わって、開放的で広々した印象の境内です。鐘楼の横を歩いていくと、本堂が見えてきます。
見かた・楽しみかたは?
重要文化財の建物群と美仏・十一面観音
赤門から境内に入る前に、重要文化財の南大門を見ておきたいところ。バス停や新大宮駅のほうから行くと、赤門を通り過ぎたところにあります。堂々とした感じの門で、正面に重要文化財の本堂が見えます。
赤門から境内に入ると、すぐ左手に鐘楼。スカートのような「袴腰(はかまごし)」と、上層の朱色が印象的です。南大門・本堂とあわせて、この3つが重要文化財の建物群。3つとも、安土桃山時代末の建物です。
本堂では、国宝・重要文化財の仏像を見られます。なかでも一番の見ものは、国宝の本尊・十一面観音。春・6月・秋の期間限定の公開ですが、有名な美仏です。法華寺を建てた光明皇后をモデルにしたといわれていて、あまり大きくはないですが、女性的な優しい雰囲気。髪の色や、唇に残る紅が印象的です。
境内には、東西に2つの庭園があります。西のほうは国の名勝で、期間限定の公開ですが、上品な池泉回遊式庭園です。東のほうは「華樂園」と呼ばれて、四季折々の花が見られます。また、光明皇后がらい病患者1,000人を洗ったという伝説の名残り「からぶろ」もあって、重要有形民俗文化財です。いずれも追加料金が必要。
歴史は?
光明皇后の宮跡に建てた「総国分尼寺」
もとは藤原不比等の屋敷があったところ。その後娘の光明皇后の宮になり、光明皇后が寺を建てて、総国分寺の東大寺に対して「総国分尼寺」になったとのこと。
奈良時代にはかなり広大なお寺だったようですが、平安時代に衰退。鎌倉時代に再興されて、戦国時代に兵火や地震で打撃を受けたものの、安土桃山時代末に豊臣秀頼と淀君が境内を復興したとか。重要文化財の建物群はそのときのもの。
イベントは?
春の「ひな会式」や幻想的な「蓮華会式」など
3月1日~18日 古代ひな人形展
江戸時代のひな人形や御所人形などが約100点展示されます。法華寺は、皇族や貴族の女性が住職になる「門跡尼寺(もんせきにじ)」。歴代の門跡が持ち込んだり、天皇から贈られたりして伝えられてきた人形を見られます。
4月1日~7日 ひな会式
光明皇后の御忌法要で、正式には花厳会といいます。本尊の十一面観音の前に55体の善財童子像が並べられて、尼僧がそのまわりで散華したり声明を唱えます。善財童子は、文殊菩薩の教えに従って55人の人々を訪ねて悟りを開いたと言われ、それにちなんだ法要です。
期間中の土日には、献花や献茶も行われます。ひな会式のころは、境内に桜をはじめ春の花が咲いて見事。
7月17日 蓮華会式
夏の疫病よけの行事。法要に参加する尼僧が、茅の輪をくぐってから本堂で法要を行います。
まず夕方5時から、わらぶき屋根の光月亭で「茅の輪がゆ」の接待があって、法華寺で作ったという梅干しといっしょにいただけます(無料)。その後、7時から法要。境内には灯籠や灯明が並んで、暗くなると幻想的な風景を眺められます。
どうやって行く?
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近鉄奈良駅からバスで11分・JR奈良駅からバスで14分・
近鉄大和西大寺駅からバスで10分
「法華寺」下車徒歩4分
近鉄新大宮駅から徒歩20分
法華寺データ
正式名称 | 法華寺(法華滅罪之寺) |
宗派 | 光明宗 |
拝観料 | 通常時 大人(高校生以上):500円 中学生:300円 など 本尊公開時 大人(高校生以上):700円 中学生:500円 など 庭園・特別展などは別料金 共通割引券各種あり |
拝観時間 | 午前9時~午後5時 |