岩船寺
深い緑に包まれた三重塔の朱色が目に鮮やかなお寺。狭い境内には、本尊はじめ重要文化財がいくつか見られて、花や紅葉も楽しめるスポットです。
どんなところ?
当尾の山深いところにある、三重塔が印象的なお寺
岩船寺は、奈良市街の北東、京都府に入ってすぐの当尾(とおの)の山深いところにあります。山の緑をぬう道路から、簡素な休憩所の間を通って、木立に囲まれた石段の上にある素朴な山門が拝観入口。入ると、深い緑をバックに建つ、朱の鮮やかな三重塔が正面に見えます。広くないスペースに池と建物、石造物が点在する、庭園風の境内です。
見かた・楽しみかたは?
三重塔をはじめ、重要文化財の仏像・石仏群を鑑賞
やはり色鮮やかな三重塔が目につきます。重要文化財で室町時代にできた建物ですが、つい最近修理されたので、新しい建物のように色がきれいです。池を前に、深い緑をバックに建っている姿は絵になります。後ろに回ると、2層目・3層目を間近に見られて、ふつうはなかなか近くで見られない、上層の様子を観察できるのも興味深いです。
最近建てられた新しい本堂に入ると、本尊の阿弥陀如来があります。大きくて立派な平安時代の仏像で、重要文化財です。本尊の後ろに回ると、像に乗った普賢菩薩像(重要文化財)やユーモラスな十二神将も見られます。
境内には石造物が点在。鎌倉時代の十三重塔・不動明王が浮き彫りされた石室・五輪塔の重要文化財3点をはじめ、地蔵菩薩などがあって、石仏の里・当尾らしい境内です。また、山門への石段手前を右に登ったところには、朱塗りの神社が2つ並んでいて、左側の「白山神社」も重要文化財。分かりにくいところにありますが、見落とさないようにしたいところ。
池のまわりは植込みがたくさんあって、初夏のアジサイをはじめ、ミツマタやツツジなどが楽しめます。紅葉も見事で、三重塔のまわりや白山神社があるあたりが特にきれい。
歴史は?
奈良時代に行基が創建、との説
奈良時代の729(天平元)年もしくは749(天平勝宝元)年に、聖武天皇が行基に建てさせた、といわれていますが、平安時代にできたという説もあって、よく分かっていないようです。もともとは、今より南にあったお寺で、かなり栄えたとか。そこにあった報恩院が鎌倉時代に移ってきたのが、今の岩船寺とも言われています。
その後、兵火で焼けて衰退して、今のような小ぢんまりしたお寺になったとのこと。
イベントは?
無形民俗文化財「おかげ踊り」
10月16日 白山神社の「おかげ踊り」
境内はずれにある白山神社のお祭り。白山神社の前庭で、着物に菅笠をかぶった人たちが輪になって、棒の先にフサフサのついた「御幣」を持って踊ります。
幕末に、世情の不安を振り払うために流行った踊りの名残りで、京都府の登録無形民俗文化財に指定されています。
どうやって行く?
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近鉄奈良駅からバスで22分・JR奈良駅からバスで25分
「岩船寺口」下車徒歩25分
(本数少ない)
JR加茂駅からバスで16分
「岩船寺」下車徒歩1分
岩船寺データ
正式名称 | 高雄山岩船寺 |
宗派 | 真言律宗 |
拝観料 | 大人:400円 中高生:300円 など |
拝観時間 | 3月~11月:午前8時半~午後5時 12月~2月:午前9時~午後4時 |