元興寺(極楽坊)
昔の大寺院・元興寺の建物が見られる唯一のお寺。世界遺産にも登録されていて、ならまち歩きのメインになるスポットです。
どんなところ?
ならまちにぽっかり開いた空間に建つ、2つの国宝建築
元興寺(極楽坊)は、ならまちの建てこんだ町中にあります。ならまちを歩いていくと、町並みが切れたところに突然大きな空間が開けて、通称「極楽坊」と呼ばれるお寺の本堂が見えます。2つの国宝の建物が並んでいるほか、古い石仏がたくさん並んでいて、四季折々の花も咲いて散策も楽しいところ。
見かた・楽しみかたは?
「古代の屋根」の本堂と僧坊の面影残る禅室
まずは国宝の本堂と禅室。もともとは1つの建物で、元興寺の僧坊(僧侶が住んでいた建物)だったところ。鎌倉時代に僧坊の東端を改造して、今の本堂ができました。
本堂の屋根は、行基葺き(ぎょうきぶき)という古代のスタイルでできていて、飛鳥時代の瓦が混じっているとのこと。本堂正面は、柱の数が奇数で、まん中に柱が来るめずらしい形です。
本堂のうしろ側にあるのが禅室。禅室のほうが、僧坊の面影がよく残っています。扉と壁が4パート並んでいて、4つの部屋があるのが分かります。全体的に簡素な感じで、素朴で力強い感じが奈良らしいです。
本堂に向かって左側奥には、石仏がたくさん並んだ「浮図田」(ふとでん)があって、これも見どころ。境内にあった石仏を集めて、最近整備されたものです。このあたりは、キキョウやヒガンバナをはじめ、四季の花がいろいろ咲きます。
歴史は?
巨大なお寺「元興寺」の一部が独立して「極楽坊」へ
もともとは、飛鳥にできた日本最初のお寺「法興寺」(今の飛鳥寺)がはじまり。このお寺は奈良に移って、元興寺に名前を変えます。今のならまちがすっぽり入るくらいの巨大なお寺だったとか。
奈良時代に、元興寺の智光が僧坊の自分の部屋に、極楽浄土を描いた曼荼羅をまつりました。平安時代ごろから元興寺自体が衰退していったなか、この曼荼羅が信仰されて、まつられた建物が「極楽坊」と呼ばれて、独立したお寺になっていきました。
その後、鎌倉時代に僧坊が改築されて、今の本堂と禅室ができました。以前は「元興寺極楽坊」と呼ばれていましたが、今は「元興寺」が正式名称。
イベントは?
万灯供養が幻想的な「地蔵会」など
2月3日 節分会(柴燈大護摩供)
節分の行事。まず本堂で、2体の不動明王を持ってきて法要があります。その後、外で山伏の格好をした人たちによる「柴燈大護摩供」(さいとうおおごまく)や火渡りの修業があって、それから節分らしく年男・年女による豆まきが行われます。
7月23日・24日 地蔵会
2日間にわたる盛大な行事。2日間とも、夕方の5時、まずは本堂に持ってきた地蔵菩薩の前で法要があります。終わると外へ移動して、浮図田の石仏の前に供えた灯明皿に灯が入って、「万灯供養」が始まります。暗くなった境内が灯明の光で浮かび上がる様は幻想的。
その他、23日には夜店や盆踊りがある「こども祭り」、24日には屋台が出る「夢まつり」や箏・尺八の奉納など、もりだくさんな2日間です。
どうやって行く?
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近鉄奈良駅から徒歩15分
JR奈良駅から徒歩20分
近鉄奈良駅からバスで6分・JR奈良駅からバスで10分
「福智院町」下車徒歩6分
元興寺(極楽坊)データ
正式名称 | 元興寺 |
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宗派 | 真言律宗 |
拝観料 | 大人:400円 中高生:300円 など |
拝観時間 | 午前9時~午後5時 |