吉田寺
(きちでんじ)
静かな落ち着いた環境で、重要文化財の本尊や多宝塔を見られるお寺。ひっそりしていながら、「ぽっくり往生の寺」として知られていて、歴史もあるスポットです。
どんなところ?
斑鳩の田園が広がる一角、林に囲まれたひっそりしたお寺
吉田寺は、法隆寺の2キロくらい南西、国道25号から南へ行ったところにあります。周辺は、田園と集落が続くのどかなところ。境内はこんもりとした林に囲まれていて、そのなかに落ち着いた建物がひっそり建っている感じ。あまり広くないですが、訪れる人も少なくて静かに過ごせます。
見かた・楽しみかたは?
シックな多宝塔と立派な本尊、2つの重要文化財を眺める
参道を歩いて林の間をぬけると、本堂と多宝塔が目に入ります。多宝塔は、室町時代の1463(寛正4)年に建てられたといわれるもので、重要文化財。多宝塔というと朱塗りのものが多いですが、吉田寺の多宝塔はシックな色合いで、それがむしろ歴史を感じさせます。中には大日如来がまつられていて、年に2回、9月と11月に開扉されます。
本堂の中には、本尊の阿弥陀如来がまつられています。2m以上ある立派な仏像で、奈良県で最大の阿弥陀如来坐像だとか。平安時代に作られたもので重要文化財。本堂には木魚がたくさん並んでいて、その先に立派な光背を持った金色に輝く仏像がある風景は、なかなか壮観です。
吉田寺は、「ぽっくり往生の寺」として知られています。吉田寺の阿弥陀如来にお参りすると、長患いせずに、シモの世話にもならずにポックリ往生できるというので、肌着を持ってお参りする年配の人が多いです。
歴史は?
天智天皇の勅願との説・平安時代に開基
飛鳥時代に天智天皇の勅願によって建てられた、と伝えられています。本堂の西側には、天智天皇の妹・間人(はしひと)内親王のお墓といわれる古墳があって、間人内親王の冥福を祈って建てられたようです。987(永延元)年に恵心僧都源信が開基した、とも言われています。
本尊の阿弥陀如来は、恵心僧都が境内のクリの巨木から作ったと伝えられていますが、平安時代末期の作という説が有力のようです。
イベントは?
ハトや魚を逃がす盛大な「放生会」など
9月1日 放生会(ほうじょうえ)
吉田寺でいちばん盛大な行事。別名「鳩逃がし」とも呼ばれます。9時ころから法要があって、午後1時ころ、本堂前の広場で、念仏を唱えながら何百羽ものハトを放ちます。次に放生池に移動して、これも念仏を唱えながら何千匹もの金魚やコイを放流。
仏教の不殺生戒(生き物をむやみに殺してはいけない、という戒律)に基づいて、生きていることへの感謝や、犠牲になる生き物を供養するための行事です。ハトや魚を逃がす行事には、子供たちが大勢参加します。
12月1日~3日 三千礼拝行仏名会
3日間かけて、念仏を唱えながら3,000回礼拝をする法要。浄土宗青年会の僧侶が中心になって、毎日朝10時から夜9時ころまで、立って→座って→礼拝する、という「五体投地」を繰り返します。一年に犯した罪を懺悔する法要です。
どうやって行く?
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近鉄筒井駅からバスで14分・JR王寺駅からバスで9分
「竜田神社」下車徒歩8分
JR法隆寺駅から徒歩25分
吉田寺データ
正式名称 | 清水山吉田寺 |
宗派 | 浄土宗 |
拝観料 | 本堂 高校生以上:300円 など 境内は拝観自由 |
拝観時間 | 午前9時~午後4時 |